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Hilltop Diner Pj

「丘の上食堂」とはガレージフィルムが不定期に開催している食事会。社内外の方と楽しくご飯を食べるついでに、アニメーションのことも学んじゃおうという企画です。会社が入居する建物名、ヒルトップ南青山から命名。

Guest Speaker

  • Animator Susumu Shiraume

    大阪府吹田市出身。日本昔ばなしといったテレビシリーズやダイハツ自動車カクカクシカジカなど多数のCM作品で演出・作画監督・アニメーターとして活躍。

Hilltop Diner Pj Vol.1_Guest Speaker白梅 進氏(アニメーター)アニメーションに取り組む姿勢

アニメーターという仕事は、子どもの頃に憧れた人もいるかもしれない。テレビの中でキャラクターが笑い、転び、泣く。

スヌーピーやバーバパパといった著名なキャラクターからオリジナルまでさまざまなアニメーションCM作品を一緒に制作してきた白梅氏をゲストにアニメーションに取り組む姿勢などをお伺いした。

白梅氏を囲んで

ゲストスピーカーのご紹介

アニメーター 白梅 進

アニメーションの中でやるんだったら、やっぱりアニメに寄せたいから、アニメーションの要素をできる限り⼊れる。でも、実写の流れ星みたいなものがほしい場合。

自分を消す

最初に語るのは、意外にも「自分を出すな」という話だった。

アニメーターは表現者だと思われがちだが、実際の現場ではまず「自分の癖を消す」ことから始まるという。

すでに存在しているキャラクターを動かす仕事では、描き手の個性はノイズになる。

だから白梅氏は、キャラクターを何度もなぞると話す。

線のカーブ、目の位置、口の開き方。それらを頭で理解するのではなく、身体に覚え込ませる。

「描いているうちに、すぐ自分の癖が出るんですよ」

白梅 進氏(アニメーター)

その癖を抑えられるようになるまで、描く。個性は、信頼のあとにしか許されない。

観察しないと、描けない。

白梅氏の話は、いつも「観察」に戻ってくる。

  • 子どもがスパゲッティを食べると、なぜ汚れるのか。
  • 物が水に落ちたとき、何が浮いて、何が沈むのか。
  • 人は恥ずかしいとき、どこを先に動かすのか。

そういうことをずっと見てきた。

特別なことではない。

電車の中、道端、家の中。

興味のあるものを、ただ見ていただけだと言う。

似顔絵を描くのがいい、と勧める。

上手に描く必要はない。似ていなくてもいい。

「なぜ外れたのか」を考えることで、人の形は少しずつ分かってくる。

動いている世界を、止まった紙の上に写し取る。

アニメーションの想像力は、観察の延長線上にしかない。

失敗して、覚える

若い頃の話になると、白梅氏はよく笑う。

15秒のCMに、あれもこれも詰め込んで失敗した話。

時間が足りないのに、動かしすぎて何も伝わらなかった話。

リテイクを十回以上出された、思い出したくもない仕事。

それでも白梅氏は言う。

「頭で分かっても、体が分かるまでは失敗するんですよ」

白梅 進氏(アニメーター)

秒数の感覚も、見せ方も、最初から分かる人はいない。

描いて、失敗して、痛い目を見て、ようやく身につく。

描けば必ずうまくなるとは限らない。

けれど、描かなければ何も残らない。

描いた分だけ、少しずつ「利子」がついていく。

それが何年も経ってから、自分を助けてくれる。

数々の設定資料など
似顔絵

AIの時代に残るもの

話は、自然と現代の話題にも及んだ。

AIは、驚くほどのスピードで進化している。

絵も、動画も、簡単に作れるようになった。

白梅氏は、それを否定しない。

むしろ「便利な道具」だと言う。

ただし、こう付け加える。

「自分の代わりに考えさせたら、終わりですね」

AIに頼ってもいい。

苦手な部分を補ってもいい。

だが、「何を作りたいか」まで任せてしまったら、そこに自分はいなくなる。

テクニックだけの人は、いずれ置き換えられる。

けれど、偏った視点や、説明できない引っかかりは、簡単には代替できない。

大事なのは、自分の頭の中にある「世界の見え方」だ。

嫌いなものほど、見る

若手社員から質問がとんだ。

「自分の好みではない絵柄をアニメーションする時に悩むことがある」

白梅氏の答えは、シンプルだ。

「嫌いなものほど、よく見た方がいい」

白梅 進氏(アニメーター)

好きじゃない、苦手だ、そう感じるものには、必ず理由がある。

それを拒絶したままでは、自分の世界は広がらない。

なぜそう感じるのか。

その表現を選んだ人は、何と格闘していたのか。

「嫌いなものを理解しようとする行為は、自分の偏見を壊す作業でもある」

白梅 進氏(アニメーター)

と話す。

描くことが、人生になる

「一番好きなことが仕事になったんですよ」

白梅 進氏(アニメーター)

だから、ここまで続いた。

紙と鉛筆だけで、世界を作る。

何もないところから、何かが生まれる。

「こんな楽しいこと、他にないですよ」

白梅 進氏(アニメーター)

描き続けることは、才能の証明ではない。

生き方の選択だ。

少しでも近づけるように学び続けていきたい。

白梅氏を囲んで

2025.12.01丘の上食堂Vol.1アルバム

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